「ヤバい」という言葉を耳にすると、私はひどく憂鬱な気分になる。
そこには「品性」が決定的に欠落しているからだ。最近ではそれを肯定的な文脈でも使われるようだけど、たとえそれがどれほど熱狂的な賞賛であったとしても、私にとっては不快なノイズに過ぎない。
もしその言葉が、組織から逸れた悪党や、まだ言葉の重みを知らない十代の若者の口から発せられるのなら、まだ救いがあるだろう。だが、居酒屋で隣り合わせた、同世代のサラリーマンやOLが、思考を停止させたままその言葉を連発しているのを耳にすると、私は耐え難い衝動に駆られる。すべてを脱ぎ捨てて全裸になり、彼らが囲むテーブルの上を転がり回ってやろうかと思うのだ。もちろん、そんなことをすれば本来の意味での「ヤバい奴」というレッテルを貼られて排除されるだけなので、それを実行に移すことはないのだけど。
結局のところ、人間にとって最も重要なのは品性なのだと思う。
たとえば、シワひとつなくアイロンが当てられた白いカッターシャツを着ている人がいる。その姿を見るたび、私はその品性に静かな感銘を受ける。そこには自分を律するという明確な意志と、他者に対する具体的な敬意が滲み出ているからだ。
磨き抜かれた革靴を履いている者も、同様の資質を持っている。
実際に靴を磨いてみればすぐに理解できることだが、その輝きを維持するためには、執拗なまでのメンテナンスが必要になる。
外を歩けば、わずか数時間で土や砂埃が、まるで悪意のように付着する。ベースが完璧に磨かれているからこそ、微細な汚れが、耐え難い欠陥として浮き彫りになるのだ。
おそらくその人は、他者の目に触れない場所で、馬毛のブラシを使って静かに埃を払い、ネル生地のクロスでその輝きを「修復」しているはずだ。そういった、誰にも気づかれない孤独な積み重ねだけが、その人の「品」という実体を形づくっていく。
通常、靴磨きのブラシは大型の方が効率はいい。しかし、サブのブラシとして、掌に収まるような小ぶりなサイズの馬毛ブラシを、カバンの中に携帯することを強く推奨したい。
M.モゥブレィ(M.MOWBRAY) ミニホースブラシ 770円(税込)
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白木ブラシ ホースヘア 550円(税込)
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埃を払ったあとにネル生地のクロスで磨き上げる。すると、クリームに含まれた蝋分が温度を得て、静謐で深いツヤが甦る。それは、ある種の快楽に近い。
ブリフトアッシュ(Brift H) 磨き布 4枚入り 1,540円(税込)
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持ち歩くのなら画像のような深紅のネル生地の磨き布を推奨する。まるで映画祭のレッドカーペットのような重厚で華々しい質感である。(歩いたことないから知らんけど)
しかも胸ポケットに入れるとハンカチーフのようにも見える。紳士に早変わりしてちょっとしたパーティーにも参加できる品格を醸し出すことができるだろう。(参加したことないから知らんけど)
私も、このように品性を持つ人間でありたいと願っている。
だけど、真に品のある人間は、決してテーブルの上を全裸で転がろうとはしないはずだ。なので、もし転がるにしても、せめてブリーフだけは履いておくことにしたいと思う。
(おわり)
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