心斎橋店のオカシューです。
ホウキを持ってギターを弾くマネをした方は多いのではないでしょうか。
ホウキをはじめ、ギターを弾くマネができそうな商品が、今私の所属している家庭用品部門にはいろいろあるのです。
そんなのを見ていたら、久しぶりにDIYしたくなりました。
今回は、弾くマネをするのではなくて本当に弾けるホウキをつくってみます。

何度も通った道
ギターをつくるのは設計段階で諦めました。いろいろ考えてつくれる気がしませんでしたので。
難しいのは、弦楽器に必ずある糸巻きです。
弦の張力を調節して正しい音程の音が鳴るようにする部品です。
ギターの場合はこの様な歯車が使われていますが、こんなのはつくれません。![]()
ウクレレの糸巻きは、両側から本体の板を強く締め付ける事で巻いた弦が緩まないように止まる構造です。![]()
この構造ならボルトやナットを組み合わせればつくれそうです。
さらに、ウクレレの弦はテグスでも代用できることがわかってきました。
なんとなく完成への道のりが見えました。
この道は何かをつくる時によく見る道です。
しかしその道はとても険しい道である事もよく知っています。![]()
ハンズネットに出ている商品だけでつくれるのではないか?
いろいろ考えて、ウクレレの土台として選んだのはこのホウキです。
このサイズだと、よく見るウクレレよりも弦が長い「テナーウクレレ」のサイズになるようです。![]()
山崎産業 庭ほうきニューブルロン Sサイズ 718円(税込)
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弦の張り方は通常のウクレレと違い、表からホウキの毛の間を通って裏に回し、裏で糸巻きにつなげます。![]()
なるべくシンプルに、ウクレレやギター専用のパーツは使わずに一般的な物だけでつくりたいです。
ホウキの柄を切ったり、別の木材で本体をつくって後でホウキの毛だけ被せる等の無理矢理な事はしたくありません。
取り付けたパーツを外したら、ただのホウキに戻るというのが理想です。
いろいろ探してみると、ハンズネットに出ている商品だけでつくれそうな気がしてきました。
それも面白そうなので今回はそんなシバリでやってみることにしました。
使った材料は全部ハンズネットで購入できますので、興味のある方はぜひチャレンジしてください。
なかなかできない糸巻き
最初の難関は糸巻きです。
糸巻は手で回せる事が必須なので、蝶ナットを使う事にしました。
いろんなボルトやナットを組み合わせて何個か試作品をつくり、何とか「これでいけるんじゃないか」という組み合わせを見つけました。![]()
ギターやウクレレの糸巻きの芯棒には穴が空いていて、そこに弦を通して固定します。
私はボルトに横から穴を開けるなんてことはできないので、代わりにナットで弦を挟んで締め付けて固定することにしました。
仕様書に「ダブルナット」という言葉が出てきます。これはボルトのネジの途中でナットが動かない様にする技法です。
2つのナットをお互いにくっつき合う様に強く締め付けあうことでナットが緩まなくなるのです。
蝶ナットとその下のナットでテグスを挟んで固定しています。
いちばん下のナットは「ナイロンナット」です。
普通のナットにゆるみ止めのためのナイロンが付いていて、手では回せないくらい硬いです。
これを使うと、締め付けトルクの微調整がずいぶん楽になります。
テストの為、物差しに取り付けてテグスを巻いてみました。
物差しがたわむくらい強く引っ張っても緩みません、この状態で巻いたり緩めたりする事もできます。
ようやく糸巻きが完成しました。![]()
ブリッジと指板とフレット
弾くところに近い、弦を引っ掛ける部分がブリッジです。
弦を指で抑える部分が指板(しばん)です。
指板に付いている、音程を決める細い棒状の部品がフレットです。
指板の材料はこれを使います。
フレットとブリッジには竹製の角串を使います。
フレットには通常金属が使われますが、加工が難しいのでいろいろ考えて竹串にしました。弦もテグスだし。
ダンボールで仮のブリッジをつくって仮置きしてみると、ブリッジの端がホウキの硬い部分からはずれてしまう事がわかりました(白の斜線部分)![]()
ブリッジには強い力がかかるので、全体を硬い部分に乗せておきたいところです。
はみ出るのは美しくないし。
いろいろ考えて、ブリッジを斜めにしてブリッジに合わせてフレットも斜めにすることにしました。
これは私のアイデアではなく、世の中にはこの様にフレットを斜めにしたギターがあるのでそれを参考にしました。
こんなに傾いてはいないのですが。
合板をカッターで切る
シナ合板を切って指板をつくります。
絶対に真っ直ぐ切りたかったので、定規を当ててカッターで切りました。厚さ6ミリの合板なので、もしお客様から「カッターで切れますか?」と聞かれたら「切れません」と答えるような状況ですが、がんばって切りました。![]()
表裏から各50回くらいカッターで切り込みを入れ続けたら切れました。
その他のパーツはノコギリで切りました。
指板はブリッジに近づくにつれて少しずつ広くなるようにしています。![]()
ブリッジの取り付け
ブリッジを正確な場所に置いて、あらかじめ開けた穴をガイドにしてホウキ本体に穴をあけます。
位置がズレないように別の穴をネジで仮止めしてから穴あけをします。![]()
裏からネジを入れ、表側は手をケガしないように袋ナットを使って固定しました。
ワッシャーの枚数でブリッジの高さが調整できます。
ブリッジらしい見た目になってうれしいです。
ブリッジには弦が通る部分にミゾをつけるのですが、何があるかわからないので今はミゾつけはしません。![]()
AIの答えを元に両面テープでフレットを接着
指板の上にフレットを正しく配置しないと音痴な楽器になります。
自分では計算できないので、各フレットの位置をAIに計算してもらって印を付けます。
「AIの答えは間違っている可能性もあるのでそのままうのみにせずチェックも必要です」とよく言われますが、こんな式は自分で計算できないので今回はAIの答えをそのまま信じてフレットの位置に印を付けていきます。![]()
竹串を指板に貼り付けます。
使用するのは接着剤ではなく両面テープです。![]()
接着剤は位置がズレやすいので今回のように正確な位置に置く接着には向いていません。
完成後は上から押さえつける力しか働かないので両面テープでも大丈夫でしょう。
外れたらまた貼ります。![]()
両面テープはいつか外れる、外れたらまた貼るものだと思って使ってます。
両面テープとはそういう物だと個人的には思っています。ごめんなさい。
竹串に感動
それにしてもこの竹串の品質はすばらしいです。
並べてバラつきをチェックしましたが、ほとんど反りもなく先端の仕上げも美しいです。
ささくれなんて全く無いしとてもなめらかな表面です。![]()
細い素材を正確にカットするには「ピラニアツール」のノコギリが最適です。
刃がとても薄くて繊細なノコギリです。
昔ウチの子どもに使わせて、刃をグニャグニャにされたのも今となってはいい思い出です。
慎重に竹串をカットしていきます。
両面テープで止めているだけなので外れやすかったです。![]()
指板ができました。
調子に乗って24フレットまで作りましたが実際には役に立つとは思えません。ガンダムの名セリフが思い出されます。
「あんなの飾りです、偉い人にはそれがわからんのですよ」![]()
もう一つパーツをつくります。ヘッド側で弦を固定するパーツです。
カッターでテグスが通る溝をつくります。
この溝の間隔で弦の間隔が決まるので丁寧につくらないといけません。![]()
糸巻きは不安
ボルトとナットを組み合わせて糸巻きをつくります。
穴を開けて糸巻きを取り付けました。糸巻きとしてきちんと機能するかどうかは弦を張るまでわかりません。
取り付け部分の厚さが約2mmと薄いので、補強の為ワッシャーは必須です。![]()
表側から見るとこんな感じです。
私だけかも知れませんが、このネジ感がたまりません。![]()
指板を固定
ホウキの柄に指板を取り付けます。
ここはドリルネジを使います。
ネジの先がドリルの先みたいになっていて、下穴を開けなくても鉄やアルミにネジ止めができるネジです。
| 八幡ねじ さらドリルねじ 4×16mm 248円(税込) 商品ページはこちら>> その他のドリルねじはこちら>> |
あらかじめ指板に下穴をあけておきます。下穴というかドリルネジと同じ太さの4mmの穴です。![]()
指板をネジ止めする前に、「サラ取り」をしておく必要があります。
ネジの入り口をすり鉢状にしておく事で、取り付けたネジの頭が板から出ない様にするためです。
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ドリルねじを使って指板をとりつけていきます。
ホウキの柄はアルミ製ですが中空のパイプ状なのでアルミ部分自体は薄いです。おそらく0.5mmくらいの厚さではないでしょうか。
ねじ込み過ぎてネジがカラ回りしないように注意しましょう。
2カ所そんなミスをやってしまいましたが大丈夫でしょう。![]()
弦を張る
指板と糸巻きが付いたので弦を張ります。
弦はテグスです。太さは#12 #20 #30 の3種類です。
ウクレレは1弦と4弦が近い音程なので#12で共用します。
弦を通すところは毛が密集しているのでそのままではテグスが通りません。千枚通し等で毛をかき分けて道をつくってあげます。![]()
テグスを糸巻きに結びつけてナットと蝶ナットで締め付けて弦を固定します。
弦の通る様子を見て、この時点でブリッジに弦が通るミゾをつけておきます。![]()
ヘッド側の弦の固定方法は、クラシックギターのブリッジ部分での固定方法を参考にしました。![]()
今のところ弦は安定していますが、調弦してみないことには使えるかどうかわかりません。![]()
テグスが伸びる
調弦していきます。
糸巻きを何回も巻かないといけないのですが、けっこう固いネジなので指が痛くなりました。
ドライバーで巻くこともできるのに気づき、ずいぶん楽になりました。![]()
ウクレレの基本チューニングは、上(4弦)から「G・C・E・A」です。
チューニングを合わせても弾いているうちに音程がどんどん下がってきます。
糸巻きやヘッド部分で弦がゆるんでいる様子はないので、テグス自体が伸びていると思われます。
元々弦ではないので伸びるのは仕方がないです。伸びきった所で止まってくれればいいのですが。
また、弦の張力が結構強いので長期的に使用しているうちに全体が反ってきたりパーツが外れたりするかもしれません。
その都度対応していかなければなりませんが、そこがDIYの楽しみでもあります。
完成しました。弾けます。
持ってみたらこんな感じです。斜めのフレットは思ったほど弾きにくくはありません。
弦の張力は普通のウクレレより強い感じですが、ジャカジャカ弾いても弦が外れたりはしませんでした。![]()
一般的なウクレレよりは長いですが、これはこれでいい感じです。![]()
ネックの裏側はこんな感じですが、見た感じほど弾きにくくはありません。![]()
ストラップを付けてみました。前々前回くらいのヒントマガジンでつくったカバン用のレザーのやつです。
長さがピッタリでした。![]()
共鳴させたい(いつの日かやれたらやります)
ウクレレとして弾けますが、音はペンペンペシペシした小さい音です。
そりゃホウキそのままですからね。
なんとかして共鳴する箱なり板なりをくっつけて、大きくしっかりした音にしたいです。
今回はもうここで終わりにします。
いつの日かやれたらやります。
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